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gra********さん
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インドネシア最東端のパプア(旧イリアンジャヤ)州。南西部に広がる北海道ほどの面積をもつ湿原地帯がアスマット(Asmat)地方です。そこは世界的に高い評価を受けているプリミティブ・アート(原始美術)の宝庫です。ニューヨークにあるメトロポリンタン美術館にその特設コーナーができるまでに洗練され精緻な彫刻品。アスマット彫刻の中でも最近特に注目を集めているものがパネル彫刻。元来アスマット彫刻は、戦闘楯やカヌーの舳先、オール、サゴ椰子皿などで世界的に知られてきました。しかし、生活文化の激変、すなわち部族戦争の終焉に伴い、戦闘楯が不要になったこと、またプラスチックやアルミニウム製の食器の登場に伴うサゴ椰子皿のお蔵入りなどによって、今日では本物の戦闘楯やサゴボールを入手することは極めて困難になっています。一方、アスマット人の彫刻技術を衰退させないために、地元のカトリック宣教団では、毎年「アスマット芸術祭」を開催して、原始美術製作の刺激剤としています。
ここに紹介します鉄木(アイロン・ウッド)製のパネル彫刻は、そうした努力の結果近年になって生まれてきたものです。大木の板根(ばんこん)部分から作った平らな板を利用したこの平面彫刻は、アスマット人の生活を余すところなく刻んでいます。この彫刻は、村人の生活を生き生きと描き出しています。特に、腰蓑を着けた女性像がユニークです。このパネル彫刻は、1997年に行われた「アスマット芸術祭」で入手したものです。作者はサワ・エルマ(Sawa Erma)地区のエル(Er)村在住のサウクリウス・オアップ(Saucrius Oap)氏。インドネシア文化宮のパネル彫刻コレクションの中でも最高レベルの逸品です。サイズは、高さが約98cm、最大横幅が約45.5cm、最大奥行きは約10cm。重さはおよそ2.5kg。楕円形のパネル部のサイズは高さが約62cm、横幅が約33cm。この作品は、パネル彫刻で知られる『北部アスマット文化圏』のサワ・エルマ(Sawa Erma)地方で作製されたものです。
このパネル彫刻の特徴は、その立体性でしょう。上部の透かし彫り部分は見事な立体をなしています。表から見ますと、そこには女性が4名彫り込まれていますが、裏側から見ますと、その内の2名は実は男性です。同一の人物像を裏と表で男女に分ける技法は、極めて稀です。また、パネル部の両サイドに2名彫り込まれています。さらに、カスアリ(火喰鳥)が計6羽います。また、透かし彫り部に、サワエルマ地方独特の、顔を持った戦闘楯が立体的に付いています。同様に、パネル部に、カスアリの大腿骨のナイフを模した彫刻(長さ約37cm、最大厚み約5cm)が立体的に表現されています。
尚、アスマット彫刻に関しては『Asmat Art:Wood Carvings of Southwest New Guinea』(Periplus社刊)、『西イリアン探検(II)』(1980年、日本テレビ発刊・読売新聞社発売・大川誠一著)、『祖像の民族誌』(小林眞著・蹲踞館発行)などを参照してください。宅急便で発送し、送料はこちらで負担致します。 インドネシア文化宮は、インドネシアの24時間ニューステレビ局『メトロTV』東京支局がプロデュースするインドネシア情報発信基地です。 インドネシア文化宮ブログサイト:http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/